記憶から消えた町 ── 井上夢人

別冊文藝春秋 1997年夏号

 自分の書いたエッセイを読むと、己の性格の悪さを思い知らされる。
 普通、〈わが心の町〉というお題を与えられて、こんなエッセイは書かないだろう。ひねくれた性格なんだよなあ。オレ。