夢人.comについて
かなり久し振りにリニューアルをしました。2021年11月8日に元岡嶋二人の相棒徳山諄一が他界したこともあり、気持ちの中ではその追悼でもあります。
井上夢人と岡嶋二人の作品の冒頭をすべて試し読みしていただけるサイトです。
それぞれの作品ページでは発刊された全バージョンの表紙をご覧いただけるとともに、すべての文庫解説もお読みいただけます。さらに、できる限り初出画像なども充実させました。(紛失してしまったものもあります)
従来の紙の本には作者である僕にも愛着があります。ただ、書店の棚には限りがあります。書店に置いてもらえなくなった本は出版社も出し続けることができなくなります。時間が経てば、紙の本は消えていきます。「書店の在庫を調べる」というボタンからは「書籍横断検索システム」サイトの軒先をお借りして、そこでの結果が表示されます。
一方で電子書籍には原則として品切れがありません。(原則としてというのは、電子書店そのものが消えるような事態が起これば、電本も消えてしまうようなことが起こり得るからです) 電本を愛読している方はまだまだ少数ですが、Kindle版もご利用下さい。
何本かの作品は映画やテレビドラマとして映像化されました。そういった作品には映像情報のページを用意しました。数分間の冒頭映像と共に、簡単なデータを載せてあります。
今回のリニューアルに当たっては、随筆集のコーナーを新たに設けました。もちろんここに載せたものが執筆したエッセイ類のすべてではありませんが、手許に残っているものはなるべく残すように致しました。
岡嶋二人について
1982年第28回江戸川乱歩賞を受賞して職業作家の道を歩き始めました。友人の徳山諄一とでっち上げた「岡嶋二人」は、その二人組という珍しさに助けられ、ある程度の注目をもらいました。ただ「売れない作家」というあまり嬉しくない呼ばれ方もされていました。
その後、第39回日本推理作家協会賞、第10回吉川英治文学新人賞を受賞しましたが、1989年に『クラインの壺』の上梓と同時に「岡嶋二人」を解散しました。そのあたりの経緯については『おかしな二人 -岡嶋二人盛衰記-』に詳しく書きましたので、興味がおありの方はお読み下さい。(ただし、岡嶋作品について過剰なほどのネタバレ、スジバレをしておりますので、それを気になさる方は、先に岡嶋二人の小説をお読みになってから手にお取り下さい)
井上夢人について
1992年1月『ダレカガナカニイル…』の出版をもって個人名での再出発をしました。
岡嶋二人に比べると半分以下のスローペースで仕事をするようになったのは、忙しい仕事が自分に合わなくて、かつての反動によるものだとの「言い訳」をしておりますが、単純に能力の問題だという自覚も持っています。
岡嶋二人は、どちらかといえば本格寄りのサスペンス小説を書いていましたが、一人になってからは本格物はほとんど姿を消し、ホラー味やSF味の強いジャンル感の希薄な物語を書いています。