オール讀物 1984年9月号
岡嶋二人にとって、競馬は徳山のフィールドでしたが、彼は自分が身体を動かすスポーツも得意としていました。ボクシングはその中の1つです。
原稿を書くのは僕と決まっていました。小説だけではなくエッセイも、執筆作業は僕の役目でした。内容的には明らかに相棒・徳山諄一にしか書けないものであっても、僕がそれをまとめることになっていました。相棒はレポート数枚のメモを僕に預けて「あとは、イズミのアドリブ」と言います。
そんなわけで、僕は相棒の視点で、相棒の声色を使って、エッセイを書きました。小説の登場人物の独白を綴るようなものでした。
その最たるものがこれだったのではないかと思います。