踊り字ばなし〈アラアラ編〉
          ── 岡嶋二人

野性時代 1982年12月号

 角川書店の某編集者は、江戸川乱歩賞の最終選考会が行なわれた1982年7月12日の夕刻に、徳山の仕事部屋を訪ねてきました。僕もそこに詰めていたのですが、いきなりの編集者の訪問には二人ともかなり戸惑いました。「授賞の最有力という情報が入っていまして」と彼はニコニコしながら「では、ご挨拶だけ」と引き揚げて行きました。なので、岡嶋の最初期には角川での仕事が多いということになったのです。野性時代に書いたこのエッセイもその中の1つでした。