最後の大声 ── 岡嶋二人

小説新潮臨時増刊 1986年夏号

 鮮明な記憶というものはあるもので、このエッセイに書いた情景は、40年経った今でもはっきりと目に浮かぶ。二子玉川の安アパートにやって来た元相棒が、コーヒーゼリーを持参していたことまで、きれいに覚えている。候補作となった作品は『あした天気にしておくれ』というものだった。