月の衝動

小説宝石 1997年8月号

 小説宝石とは2年のブランクができてしまったので、編集者はまったくそのつもりがなかったと思いますが、僕は勝手にこの雑誌に書くものの〈縛り〉を作ってしまっていました。3年前に「土の記憶」、2年前に「火の追悼」を書いたことで、僕の中には《曜の告発》という連作の縛りが出来上がっていたのです。そこで書いたのがこの「月の衝動」でした。あくまでもその「連作」については僕の中にあっただけのものです。ですから編集者にも、そのことは告げませんでした。