ネコの恩返し

小説現代 1995年5月号

 掌篇小説は、僕にとってかなり難しいのです。そもそもショートショートのセンスがないのかも知れない。だから、短いものを書くとなったら、けっこう必死になります(いや、短くないものは必死にならないということじゃないです)。前に書いた「左側の男」もそうですが、どこか〈起承転結〉を意識した構成になってしまうような気がします。もしかすると岡嶋二人のときの『ちょっと探偵してみませんか』を連載したときに出来上がった癖のようなものがあるのかもしれません。